地獄絵図 - 嘘ついた人の地獄
地獄絵図 - 嘘ついた人の地獄
じごくえず - うそをついたひとのじごく
2020年
銀箔、アクリルグアッシュ
六曲一隻屏風
H175.5×W370×D1.7cm
作家蔵
嘘をつくことは殺人や窃盗といった犯罪と並べられるほど罪。嘘や口からでまかせを言った人がおちる地獄は、嘘つきにふさわしく、口や舌を痛めつけるものが多く、これまでの地獄を合わせた10倍の苦しみという。
煮えたぎる銅の液体を口から流し込まれたり、燃える炎の口をもつ虫に口やのどを喰いつかれたり。熱した鉄針で舌と唇を縫い合わされる。舌は焼かれてもまた生えてくるので、抜かれつづける。地獄の鬼に、舌を引っ張られ服毒させられ舌を焼かれる。その焼けた舌を虫に喰われるという、念の入りよう。
生前、恩を仇で返した人や信頼してくれる友人に嘘をついた人の地獄は、顎に穴をあけて舌を引き出し、毒の泥を塗って焼け爛れたところに毒虫がたかる。
保身のために嘘をついたり地位を利用して嘘をついた人は、罪人たちの体内を蛇が動き回り、肉や内臓を食い荒らす。
他人のものを奪い取るために嘘をついた人は、鍛冶師が刀を作るときのように、人を鉄に見立てて火で焼き、ふいごで火力を強め、鉄槌で打たれ、引き延ばされ、瓶の中の湯で固められ、また火で焼く、ということが延々くり返される。
病気や生活に困まり助けを求めた人に助けると口先ばかりで嘘をついて、実際には何もしてやらなかった人の地獄は、目の前においしそうな料理が出現するので駆け寄ると、途中に生えた鉄鉤で傷つき、しかもたどり着くと実は料理に見えたのは熱鉄や糞尿の池で、その中に落ちて苦しむ。
簡単におかしてしまう嘘、注意しよう、お互いね。
刑期=六千八百二十一兆千二百億年!