紫艶由縁江戸花 四
紫艶由縁江戸花 四
「紫艶由縁江戸花 四」(むらさきのつやゆかりのえどのはな)
制作年:2017年
サイズ:H1512×W990×D56mm
日本の芸術は、黒の表現である“書”(=筆)の影響を受けている。
ゴッホが憧れた「浮世絵」も、“筆の線”の芸術。
細微な漆黒の輪郭線は、世界を驚かせる。
その線は、絵師が筆で「描き」、彫師が版木から彫り起こし「残した」もの。
そして色ごとに版木を何枚も彫り分け、1枚の紙に刷り重ねる技法で現れる。
まるで、現代のフォトショップのレイヤー機能でつくる構造に近い。
そこで、本作は、
かつて立体を線で平面に置き換えた浮世絵を、250年の時を越え、
平面から解放する。
輪郭線を背景の絵からすべて抜き去り、
書家が新たな筆の線を「引く」。
その墨蹟は、何層にも重なり自由放埓に宙を舞う。
紫舟は“書”を、伝統から解き放つ。