起
起
「起」(き)
2018年
金屏風、アクリルグアッシュ、墨
二曲一隻
H182×W180.5cm
江戸時代に流行した、性風俗を描いた浮世絵の一種である大衆芸能、春画。
春画を紐解くと、目的の真意は性教育なのか、文化か、思想か、宗教か……謎のまま。
春画の表現は、絵のみならず、仮名やカタカナで沢山の文章が書で書かれていて、驚く。
屏風の絵と文字は、絶妙なバランスで成立し、
また画面一杯に文字が書で埋め尽くされていることも
一辺倒ではない、人を惹きつけてやまない魅力ある表現となっている。
伝統的で奔放な春画に自由を与え、文字は宙に踊り、
さらに版画から抜き去った墨跡は筆でひきなおししてできた立体彫刻
によって、新しい春画が誕生。
江戸の人々が秘めて愛でた春画。
鑑賞者が身体や目線を動かすことで、はじめてその姿に相まみえる、
秘めた鑑賞となっている。