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立体の書

書の彫刻

文字を平面から解放し、立体へと昇華させた「書の彫刻」。 文字=平面という常識を打ち破り、書の概念を覆した。 彫刻に光をあてると、そこに生まれる影もまた作品の主体となる。光の角度によって影は姿を変え、揺れ動きながら、言葉のもつ意味や感情を映し出す。漢字の起源をたどると、今から3300年前に誕生した「甲骨文字」に辿り着く。古代の人々が亀の甲羅やシカの骨を刻んだ文字。 紙が普及するはるか以前、文字は書くものではなく刻まれるものだった。 つまり、文字はもともと平面に書かれたものではなかった。文字が書かれ始めたのは、それから1300年後のことである。文字の歴史を遡り、その原点に立ち返ることで、平面から立体へ。文字の伝統を受け継ぎながらその概念を超え、日本の書の1300年史に、新たな書のアートが誕生した。

書のキュビズム

書家と筆が一体となって生み出す、流れ、呼吸、リズム、奥行き、そして時間軸までもを立体彫刻として可視化した作品。彫刻は、筆圧の強い部分ほど奥にゆき、筆が紙に軽く触れている所ほど手前にくる。一筆で描かれた線は、起伏をもつ一本の彫刻へと姿をかえる。「書のキュビズム」は、書の文化を知らない人にも、平面の書が持つ奥行きや筆遣いを直感的に伝える新たな表現手法である。そして、書家が一瞬一瞬に刻んだ筆の軌跡は、立体となって永遠に留められる。鑑賞者は、書家が筆を運んだ時間を何度でもたどり、その呼吸や躍動を追体験することができる。書くという一瞬の行為を、永遠に鑑賞できる芸術。

光の書

書をガラスで立体化し、光によって色彩を生み出す「光の書」。透明なガラスの文字を中空にし色水で満たし光を当てると、文字が落とす影は、鮮やかな色彩となって空間に現れゆらぎをもたらす。文字そのものに色を塗るのではなく、光を通すことで色彩を生み出す。光の角度や強さによって、文字の表情は刻々と変化し、時とともに異なる美しさを映し出す。従来の書が墨によって紙に文字を定着させる芸術であるならば、「光の書」は、光によって空間に文字を描く芸術である。