文字を平面から解放し、立体へと昇華させた「書の彫刻」。 文字=平面という常識を打ち破り、書の概念を覆した。 彫刻に光をあてると、そこに生まれる影もまた作品の主体となる。光の角度によって影は姿を変え、揺れ動きながら、言葉のもつ意味や感情を映し出す。漢字の起源をたどると、今から3300年前に誕生した「甲骨文字」に辿り着く。古代の人々が亀の甲羅やシカの骨を刻んだ文字。 紙が普及するはるか以前、文字は書くものではなく刻まれるものだった。 つまり、文字はもともと平面に書かれたものではなかった。文字が書かれ始めたのは、それから1300年後のことである。文字の歴史を遡り、その原点に立ち返ることで、平面から立体へ。文字の伝統を受け継ぎながらその概念を超え、日本の書の1300年史に、新たな書のアートが誕生した。