日本には古来より、絵と文字がひとつの画面に共存し、響き合う「書画」の伝統がある。
その傑作のひとつが、江戸時代の「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(書:本阿弥光悦/絵:俵屋宗達)である。流れるように配置された筆文字を目で追うと、その動きは鶴が飛び立つ姿と重なり、画面全体に躍動が生まれる。こうした文字と絵が一体となる日本の伝統的な表現は、日本が誇るマンガ文化にも影響を与えている。紫舟は、文字が絵の一部として調和することで生まれる視覚的な効果と、そこに宿る言葉の力に着目した。作品の中で絵と呼応するように配された書は、言葉の意味を伝えると同時に、世界一美しい日本語の造形美によって、作品に新たな物語を紡ぐ。文字は絵の一部となり、絵はことばを語りはじめる。